2019年4月、ロシアを初訪問した金正恩氏とプーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

北朝鮮に砲弾や対戦車ミサイルを要求

[ロンドン発]米紙ニューヨーク・タイムズ(9月4日付電子版)は米当局者の話として、北朝鮮の金正恩総書記が今月ロシアのウラジオストクを訪問、ウラジーミル・プーチン露大統領と会談すると報じた。プーチンは北朝鮮に砲弾や対戦車ミサイルの供与を、金正恩はロシアにミサイルや弾頭、原潜の先端技術の提供を求める「共通の利益」が互いにある。

 ウクライナ市民を無差別攻撃するロシアにカミカゼドローン(自爆型無人航空機)を大量に提供しているイランも含め、まさに「悪の枢軸」だ。英シンクタンク「英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)」のマルコム・チャルマーズ副所長は5日のイベントで「ウクライナだけでなくロシアも無尽蔵に軍事資源を持っているわけではないということだ」と指摘した。

「今、プーチンと金正恩が首脳会談について協議しているという事実や、ロシアは半世紀も前の兵器を北朝鮮に提供してもらわなければならないという事実は、ロシアの武器庫が底をつき始めていることを示唆している。ウクライナ戦争は長い消耗戦になりつつある。1年後、あるいは2年後もこの戦争を続けることになるだろう」(チャルマーズ副所長)

 米ホワイトハウスはこれまでも北朝鮮がロシアに砲弾やロケット弾を出荷し、さらなる武器取引交渉を行っていると警告してきた。同紙によると金正恩とプーチンは9月10~13日に開催される東方経済フォーラムに出席するためウラジオストクの極東連邦大学のキャンパスに滞在。金正恩はロシア海軍の太平洋艦隊の艦艇が停泊する33番埠頭を訪問するという。