(国際ジャーナリスト・木村正人)
「紛失・盗難・破損に関するお知らせ」
[ロンドン発]ロンドンにある大英博物館が8月16日「紛失・盗難・破損に関するお知らせ」というプレスリリースを流した。収蔵品の紛失・盗難・破損が発見されたことを受け、警備体制に関する独立したレビューを開始、疑惑の学芸員を解雇し、法的措置をとるという。ロンドン警視庁経済犯罪班も捜査に乗り出した。
1993年から大英博物館に勤務し、ギリシャ・コレクションを担当していた渦中のピーター・ヒッグス氏(56)の家族は英紙デーリー・テレグラフに「父に通告があったのは7月5日だったと思う。父は35年間もこの仕事に携わってきた。父は長い間この仕事を愛し、素晴らしい仕事をしてきた」と無実を主張している。
大英博物館は行方不明の収蔵品を回収するためのプログラムも始動した。その大半は博物館の倉庫に保管されていた。紀元前15世紀から紀元後19世紀にかけての金や、ダイヤモンドなど四大宝石以外の半貴石、ガラスの宝飾品が含まれている。最近展示されたことはなく、主に学術・研究目的で保管されていた。
大英博物館のジョージ・オズボーン理事長(元英国財務相)は「大英博物館の理事会は今年初めに収蔵品が盗まれたことを知り、博物館のチームと協力して断固とした行動をとった。警察に通報し、警備を強化する緊急措置を講じた。何が起きたのか教訓を得るため独立したレビューに取り掛かり、問題の職員を処分するために懲戒権を行使した」と強調した。