スイーツの進化と歴史(日本)
前回の「新連載:ビジネスパーソン必読、スイーツの進化と歴史」「スイーツの進化と歴史:フランスが中心地になったわけ」に続き、今回は和菓子と日本のスイーツについて解説します。
まず、和菓子の起源ですが、これには諸説あります。
1つ目の説は、神話に見出せます。
日本書紀によると、垂仁天皇の時代(西暦90年代)に田道間守(たじまもり)という人物が天皇より「中国から橘(柑橘類の一種)を取ってこい」という命を受けました。
持ち帰った橘の木が植えられて、そこになった橘の実が和菓子の始まりだというものです。
田道間守は今も菓祖神として各地の菓祖神社に奉られています。
2つ目の説は、縄文時代にまで遡ります。
当時の人々が木の実を粉砕、アク抜きしたものが団子の始まりであり、そこから中国や茶の湯の影響を受けながら長い時間の中で和菓子へと発展したというものです。
3つ目の説は、唐菓子から発展したというものです。
唐菓子とは、米粉や小麦粉などに甘葛(あまずら)の煮詰めた汁や水飴などを加えてこね、油で揚げられたものです。
この唐菓子が豊作を願う際などに用いられ、これから和菓子が発展していったという説です。
4つ目の説(個人的にはこれが一番好きな説です)は、和菓子は果物に由来し、その起源が干し柿だとするものです。
1つ目の説に出てくる橘の実も果物ですし、今でも懐石料理に出てくる果物を水菓子と呼ぶなど菓子と果物は縁の深いものではあります。
通常の柿ではなく、より甘くおいしいものにするためひと手間加えた干し柿が和菓子の起源ということに菓子職人魂をくすぐられます。
実際、平安時代に完成した延喜式には干し柿が祭礼用の菓子として記載されています。
さて、ここまでで和菓子の起源は様々ながら、その歴史はとても古いということが分かっていただけたでしょうか。
では次に和菓子の発展について紹介します。