- 1on1でしばしば訪れる部下の「沈黙」。その間に耐えられず、上司が口をはさむケースは少なくない。
- だが、沈黙はそれまで曖昧だった思考を言語化し、明確化していく場。それは、部下にとっては学びの時間である。
- 沈黙をうまく使って部下の成長につなげられるようになれば、1on1は意味のあるものになる。
上司と部下の間で行う1対1の定期的なミーティング「1on1」。評価のための人事面談とは異なり、部下の成長を支援するための人事施策として知られている。2012年にヤフーが人事制度の目玉として取り入れて以来、人材育成のトレンドの一つになった。今では、多くの企業で導入が進む。
もっとも、1on1が一般的になる一方で、現場の上司からは「どう接すればいいかわからない」「うまく機能しない」という声もしばしば挙がる。なぜ1on1が機能しないのか。ヤフーの人事責任者として1on1を導入した本間浩輔氏(Zホールディングス・シニアアドバイザー)が見る、1on1の違和感とは──。
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(本間 浩輔:Zホールディングス株式会社 シニアアドバイザー)
1on1で話をしていると、ふとしたタイミングで“沈黙”が訪れることがあります。この静寂を「怖い」とか「耐えられない」と言う人も少なくありませんが、僕はこの沈黙がとても重要だと考えていています。
ある人が「沈黙を楽しめれば1on1も一段階進んだことになりますね」と言ってくれましたが、私もそうだと思いました。なぜなら、1on1で相手が沈黙するということは、その人の成長機会に立ち会っていることとだと思うからです。
人が沈黙する理由は、3つあると言われています。まず、質問の意図がわからないとき。次に、相手と話をしたくないとき。そして、何かを考えているときです。1番目と2番目の沈黙は、1on1にとってそれほど重要ではありませんが、最後の「考えている沈黙」は大切だと考えています。