文=鷹橋 忍 

岡崎城 写真=フォトライブラリー

信長の長女? それとも、次女?

 大河ドラマ『どうする家康』第25回「はるかに遠い夢」では、家康の願い叶わず、家康の正妻・有村架純演じる瀬名(築山殿)と、嫡男の細田佳央太演じる松平信康が自害した。

 今回は、信康の妻・久保史緒里(乃木坂46)演じる五徳と、その子どもたちを取り上げたい。

 まずは五徳からみていこう。

 五徳は桶狭間の戦いの前年である、永禄2年(1559)に誕生した。織田信長、数えで26歳のときの子である。

 のちに夫となる信康も、同年に生まれた。

 母親は信長の長男の信忠と二男の信雄と同様に、織田家の家臣である生駒家宗の娘だとされる(『新訂 寛政重修諸家譜』)。

 信長には、蒲生氏郷の室となった「冬姫」とされる娘がおり、彼女の生年が永禄元年(1558)と永禄4年(1561)の二説があるため(柴裕之編『論集 戦国大名と国衆20 織田氏一門』所収 渡辺江美子「織田信長の息女について」)、五徳が長女なのか二女なのか、あきらかではないという。

 童名は「おごとく」、もしくは「ごとく」とされ(谷口克広『信長と家康の軍事同盟 利害と戦略の二十一年』)、信康に嫁いでからのちに、「岡崎殿」と敬称された。