日本の対韓投資も2012年には5回目のブームを迎えていたのだが、それ以降は減少に転じ、近年も盛り上がりに欠いた状況が続いている。

 特に2018年秋に韓国の大法院が元徴用工問題に関し、日本企業に対して損害賠償を命じる判決を出してからは日韓経済関係は大幅に冷え込んだ。当時の文在寅政権は、終始元徴用工を擁護する姿勢を取った。

尹政権下で日韓経済関係修復の動きが本格化

 だが尹錫悦政権に代わって以降、日韓関係は画期的な変化を遂げている。尹大統領は3月、徴用工に関連する日本企業資産の現金化を防ぐため、政府傘下の財団が韓国内で寄付を募り代位弁済する解決案を発表した。尹大統領は、解決案を持って3月16、17日に訪日、首脳のシャトル外交を復活させるとともに、さまざまな分野における政府間対話の行うことに合意した。

 これに応え、今度は岸田文雄総理がその52日後に訪韓。こうした両首脳のシャトル外交が日韓関係の大きな変化をもたらした。

 日本は韓国を半導体素材に関するホワイト国に復活させた。尹大統領訪日時には経団連と全経連がビジネスラウンドテーブルを開催、韓国からは4大財閥の会長らが参加した。日本商工会議所と大韓商工会議所の間でも、6年ぶりとなる「首脳会議」開催に向けて実務接触が行われている。

 また鈴木俊一財務大臣と秋慶鎬(チュ・ギュンホ)経済副総理兼企画財政部長官は6月29日に東京で7年ぶりとなる財務大臣会談を再開することで合意している。議題には金融や租税などの二国間協力のほかに、通貨スワップ協定の再開についても含まれる可能性があると報じられている。

 文在寅政権による負の遺産を解消することは容易ではない。日本側には対韓不信が残り、韓国の反日感情も革新系の間では残っている。

 それでも日韓首脳同士の関係が改善し、さまざまな懸案問題が解決され、経済関係者同士の対話と交流が活発化しはじめている。日韓ともに経済を回復軌道に乗せていくためにはお互いを必要としている。「ピーク・ジャパン」は韓国のためにはならないし、「ピーク・コリア」も日本のためにはならない。日本と韓国は、過去のわだかまりを捨て、真摯に協力しあうべき時が来たようである。