韓国経済の難題は対中輸出の減少
韓国経済の最大の難題は対中輸出の不振だ。対中輸出は昨年4月からほぼ1年にわたり減少傾向である。1-3月期の対中貿易赤字は78億ドル、貿易赤字の35%である。
だからこそ対中輸出の回復に期待を持つ人が少なくないのだが、現実問題として、新型コロナの防疫緩和に伴い中国の経済活動が再開しても韓国企業の対中輸出は増えていない。中国経済は1-3月期に4.5%成長し、復活の兆しを示したが、韓国の輸出には何の効果もなかったのだ。むしろ5月に入り20日までの韓国の対中輸出額は、コロナ禍の真最中だった前年同期より23.4%減少した。今年に入り4月までの韓国の対中貿易赤字額は100億ドルに達する。
なぜ韓国の対中輸出は伸びないのか。その背景には、韓中経済関係の構図が激変したことがある。
中国が製造業育成戦略「中国2025」に乗り出して以降、韓中貿易は「補完関係」から「競争関係」へと変わった。
韓国の対中輸出は2003年以降、約20年間にわたり毎年25%前後を維持してきた。しかし、今年に入ると対中輸出の割合は19.4%にまで低下し、20%を割り込んだ。
その一方で対中輸出の半分ほどしかなかった米国向けが増加し、対米輸出の割合は17.9%まで増加している。韓国の対米自動車輸出が好調ならば、今年中にも最大輸出先が米国にとって代わるという観測も出ている。
そのため、韓国が輸出を伸ばすためには中国市場と決別するという覚悟で新たな市場開拓と技術開発に力を入れなければならない、という分析が出てきている。