中国に10兆ウォン以上を投資し、百貨店、量販店などに事業を拡張したロッテは一時120カ所以上を出店したが、やはりTHAAD配備に伴う経済報復を受け、今は成都にロッテ百貨店1店を残すのみである。この店舗についても昨年8月の同社取締役会で売却の方針が決定したと報じられている。

 中国市場は確かに魅力的だが、こうした事例はそれに依存しすぎる構造はいかに危ういかを物語っている。

中国に寄り添っているうちは韓国経済は立ち直れない

 19日付の朝鮮日報は<中国から離れたら世界が見えた…中国の対韓圧力が招いたどんでん返し>という記事を掲載、韓国企業が急速に中国離れを進めていることを伝えている。

 最近の対中輸出減少の理由について、米中対立、半導体不足、中国の景気低迷と内需重視政策など主な外部要因が発端と分析。一方で、対米輸出の増加は「偶然ではない」として、対中輸出が後退する間、対米輸出は18年の727億ドルから22年には1098億ドルへと51%増えたと指摘。中国との貿易が危機を迎えた局面で、「いち早く米国など他の市場で機会を見つけた企業の決断力と瞬発力がそれを可能にした」と指摘している。

 代表的な例が現代・起亜自動車である。16年に中国市場で178万台を販売したが、中国がTHAAD配備問題で韓国に報復を開始した17年以降は販売台数が急減、22年には34万台に急落した。そこで現代自動車はインドなど第3市場の開拓と高級化戦略で勝負に出、それが功を奏したのである。

 また“Kフード”の代表格である総合食品メーカー「CJ」は、米国市場に活路を見つけた。CJグループによる米州事業の売上高は17年の1兆1698億ウォンから22年には8兆2854億ウォンに急増している。

 中国は世界第2位の経済大国になってからというもの、経済と貿易を政治・外交上の取引材料にし、他国へ日常的に圧力をかけている。そうした中で韓国は、中国市場依存から脱却しても生きる術を学び始めていると言える。