韓国企業の中国事業失敗事例が続々
こうした状況の中、ひときわ難しい選択が迫られているのが韓国の半導体企業である。
韓国の半導体大手サムスンとSKは中国に大規模な生産拠点を構築しているのだが、それが逆に現在は、「チャイナ・リスク」となって両社を襲っている。
サムスン電子はNAND型フラッシュメモリー生産の40%、SKハイニックスはDRAM生産の40~45%とフラッシュメモリーの20%を中国の拠点で生産している。中国は世界半導体市場の65%、韓国による半導体輸出の55%を占めている。米国への半導体輸出は7%だから、中国はその8倍に達していることになる。
しかし、米中対立が激化した結果、両社は最悪の場合、これまで60兆ウォン以上を投じた中国事業からの撤退も検討しなければならない状況に置かれている。
水酸化リチウムやコバルトなど、二次電池の製造に必要な鉱物についてもその80~90%を中国に依存していることも問題だ。中国製品の使用を禁止するインフレ抑制法を米国が施行したため、中国産原料を多く使用した製品が米国の補助金支給の対象外となるからだ。韓国としては中国一国依存ではなく、資源確保の多角化を進めなければならない。
また消費産業も中国経済の影響を大きく受けている。韓国の化粧品業界を代表するアモーレパシフィックは中国での販売好調で急成長してきたが、2017年のTHAAD配備に伴う経済報復により、中国に進出させていたブランドの売り上げに急ブレーキがかかった。そこで同社は19年から中国の店舗を急スピードで整理、オンライン事業と複数のブランドを扱うセレクトショップ型店舗への変更を進めた。その結果、2022年の中国事業での損失額は大幅に減らすことができたが、売り上げも35%減とこれまた大幅に減少している。