植田日銀が金融政策の変更に踏み切る可能性

 新興国だけでなく、世界経済をけん引する米国や中後にも不安材料、懸念材料が山積するなか、最大のポイントは日本の金融政策が今後どうなるのかだ。

 植田和男日銀総裁は6月9日の衆院財務金融委員会で、「粘り強く金融緩和を継続していく」と強調した。しかし、食料品から電気代まで物価高騰の影響で庶民の生活は苦しさを増すばかり。

 日銀の「生活意識に関するアンケート調査」最新版(3月)では、1年前と比べて「暮らしにゆとりがなくなってきた」が56%、「支出が増えた」が60.2%に達している。物価高についても62.8%が「かなり上がった」と回答。高騰率の平均値はプラス14.6%だった。

「物価高で苦しんでいるのに、インフレを放置している日銀に対して国民の怒りは爆発寸前です。これ以上金融緩和を続けていくのは困難。官邸からのサインもあるかもしれない。近いうちに修正局面が訪れるはずです。

 米国の7月の再利上げ、日銀の金融政策修正のタイミングが、今のバブル的な状況の大きな転換期となる可能性があります。ちょっとイヤな感じがしますね」(前出・斎藤氏)

 早ければこの夏にも大きな変化、変調が訪れるかもしれないというのである。

 今回の局面で見逃せないのは、株式相場も不動産市場も主役は外国人投資家だということ。日本国内の動きよりも前に、米国や中国で何らかの危機的状況が露呈すれば、日本への悪影響を察知していち早く資産を売却し、日本市場から逃げ出す可能性があることだ。

 それが発火点となり、株価も不動産価格も下落の一途となる。その先には想像もしたくない展開が待ち構えているかもしれない。そんな悪夢のようなシナリオもささやかれ始めている。杞憂に終わればいいのだが。