女子サッカー、クリヴバスとマリウポリの試合(5月20日、クリヴィー・リフで筆者撮影)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

「戦時下にサッカーリーグを開催するのは世界史に残る挑戦」

[ウクライナ中部クリヴィー・リフ発]ロシア軍の侵略でウクライナのサッカー・プレミアリーグは昨年2月24日に中断され、そのまま終了した。しかし今季は昨年8月23日に開幕、各クラブ全30試合の日程を終えて、この6月4日に閉幕した。男子の優勝は“疎開生活”が続くFCシャフタール・ドネツクだ。

 昨年、ウクライナサッカー協会、関係省庁は「戦時下にサッカーリーグを開催することはスポーツのためだけではない。世界史に残るユニークな挑戦だ。戦争に反対するサッカー、平和のためのサッカーだ」とプレミアリーグ開幕を決断した。兵士は前線で戦っている。スポーツ選手や市民はウクライナ国内で日常生活を維持することで侵略と闘っているのだ。

 クリヴィー・リフ出身のウォロディミル・ゼレンスキー大統領は子供の頃、地元クラブ「クリヴバス」の全試合に足を運んだ。クリヴバスは2013年、経営難で破産したが、地元の他クラブを母体にして20年に復活を遂げた。名前が消える他クラブのサポーターの反対を押し切って「クリヴバス」ブランドが優先されたのはゼレンスキー氏の強い思い入れからだ。

 復活クリヴバスの初戦、始球式を行ったゼレンスキー氏は「私は国内の地方を回っている。ウクライナを縫い合わせることがいかに重要か理解している。これは国家理念を中心とした団結だけではない。国土をつなぐ新しい道路や橋だけでもない。幸せな感情を中心としたウクライナ人の団結でもあるのだ」と力説した。

試合中、空襲警報が鳴り、防空壕に避難するクリヴバスの女子選手(筆者撮影)