「デトロイトは当時、積極的に貿易の自由化を推進していました」
「それによって、米国は非工業化がもたらす否定的な影響を体験することになったのです」
そしてその反省を踏まえて、こうも発言した。
「バイデン大統領と私はいま、労働者を貿易政策の中心に据えるべきであると話し合っています。その中心都市が実はデトロイトであるといっても過言ではないのです」
デトロイトは2013年の破産から着実に立ち直り、かつて荒廃していた街の大部分は、再生されつつある。
フォードとグーグルのイノベーション・ハブだけでなく、他の自動車メーカーも電気自動車工場を開設、または拡張しており、デトロイト復活への希望が膨らむ。
GMは電気自動車の生産能力を拡大するため、デトロイトに電気自動車専用工場「ファクトリーゼロ」を稼働させている。
首都ワシントンに本部を置くシンクタンクで、消費者擁護を行っている「パブリック・シチズン」のメリンダ・セントルイス部長はこう話す。
「デトロイトは、労働者の利益よりも企業の利益を優先する貿易のあり方が、いかに製造業の空洞化を招くかを理解したのです」
「ホワイトハウスは、企業が中心に据えられた自由貿易推進という政策ではなく、労働者の声を国際商取引に反映させる『労働者中心の貿易政策』という新しいモデルを提唱しています」