NYタイムズ、上智大教授の教え子との愛人関係裁定を糾弾
「NOといえない女性」を弁護できぬ日本のセクハラ裁判
2023.5.31(水)
高濱 賛
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セクハラ被害女性だけが不倫の尻ぬぐい
日本の地裁ではケリのついていた大学教授と教え子との不倫騒動を天下のニューヨーク・タイムズがなぜ、今、取り上げたのか。
その理由は見出しを見れば、一目瞭然だった。
“She said her professor sexually harassed her. His wife won damages.”
(彼女は教授にセクハラされたという。だが不倫損害賠償裁判で勝訴したのは教授の妻だった)
女性は2003年に上智大学入学後、学部2年生の2004年後期から林氏の講義を受けており、大学院進学直前の2007年夏のゼミ旅行をきっかけに、林氏から2人きりで外で会うことを求められた。
子供の頃に英国で生活しバイリンガルだった佐野さんに、林氏は修士号取得のアドバイスを与える傍ら、資料整理や英文論文の校正を依頼するなど秘書代わりに使っていた。
そのうち、「恋愛関係」になり、ラブホテルで密会。フランス、イタリア、スペインなど海外出張にまで連れ歩く「愛人関係」が続いたという。
米主要メディアの社会部記者G氏によれば、米国では、このように狙った相手の心のドアを少しずつ開けて入り込む行為を「Foot in the door technique」と呼び、「Grooming」(手なずける)と合わせてハラスメントに多く見られる手口だという。
ニューヨーク・タイムズ紙の記者2人は、林氏がこうした手口を巧みに使ったアカデミック・セクハラ(Academic sexual harassment)*1ではないかと見ている。
つまり、豊富な美術史の知識をちらつかせ、佐野さんを手名付け、心をこじ開け、師弟関係を少しずつ恋愛関係にスライドすることで性的目的を満たしてきたのではないか、というわけだ。
*1=アカデミック・セクハラとは、大学や研究機関で教授や上司が権力を乱用して部下に不適切な言動を行い、研究の遂行や昇進に支障をきたし、精神的身体的損害を与えるハラスメントを指す。近年、米国では、頻繁に訴訟沙汰になっている。