トランプ氏はデサンティスにノー
南部フロリダ州のロン・デサンティス知事(44)が5月24日に2024年米大統領選への出馬を表明した。
ドナルド・トランプ前大統領が「ロン・デサンクティモニアス(「不吉なデサンティス」)と名付けて忌み嫌う対抗馬がいよいよ満を持して登場した。
5月22日には、米共和党唯一の黒人上院議員、ティム・スコット上院議員(57=サウスカロ内ナ州選出)が、2024年大統領選に出馬表明した。
トランプ氏はSNSにこう投稿した。
「スコット上院議員、ご健闘を祈る。大統領候補が急に賑やかになってきた。(スコット候補は)全く当選する見込みのないデサンクティモニアスよりも大きくステップアップした格上の候補者だ」
「スコット氏は2017年、(黒人のために設置された地域への)投資を盛り込んだ減税法案で協力し合った仲だ」
(Trump on Tim Scott: ‘Big step up’ from DeSantis | The Hill)
トランプ氏にとっては、候補者乱立で票が分かれ、それだけ自分の支持率が安定化するという読みがある。
と同時に、長期的に見れば黒人のスコット氏の登場は本選挙では民主党支持の黒人票を切り崩すといった「大所高所」からの読みもありそうだ。
(トランプ氏が私欲だけでなく共和党のことを考えていればの話だが)
スコット氏が、反トランプか親トランプかは目下のところはっきりしない。が、仲は悪くない。
トランプ氏は大統領の時に人種問題ではスコット氏の話をよく聞いていた。トランプ氏はスコット氏に一目置いていた。
2017年バージニア州シャーロッツビルでの極右武装集団がリベラル派の集会に殴り込みをかけた際に、トランプ氏が「双方には善良な市民がいる」とツイートしたのに対し、スコット氏は「擁護しがたい発言だ」と抗議、苦言を呈した。
当時、トランプ氏に苦言を呈する者はいなかっただけに目を引いた。
「大統領は深く物事を考えずに言ったのかどうか、大統領としてのモラル・オーソリティを取り消すのは並大抵のことではない」
人種問題の節目では党内で黒人共和党議員の役割を果たしてきた。
ジョー・バイデン氏の大統領就任演説に反論する恒例の共和党代表演説(2021年1月)を行ったスコット氏は、「米国は人種差別国家ではない」と、以下のような演説を行って注目された。
「(黒人が受けてきた)苦痛の過去を現在行なわれている人種問題の論議に不正直に引用し、使うのは正しくない」
「人種差別の問題を別の形の人種差別にすり替えて論議を戦わすのは後ろ向きだ」