平和記念公園を訪れたG7の各国首脳(5月19日、写真:Abaca/アフロ)

広島だから採択された核軍縮独立首脳文書

 対中ロ包囲網、ウクライナ支援強化、核軍縮推進と盛りだくさんの広島先進国7か国首脳会議(G7サミット)を米国メディアはどう報じたか。

 経済安保に始まり、中ロの経済的威圧に対抗する枠組み「調整プラットフォーム」新設を謳い、核軍縮に向けて核戦力データの透明化を訴える「G7首脳広島ビジョン」を発表。

 中国を名指しし、「透明性を欠いた核戦力増強」に懸念を示した「核軍縮に焦点を当てたG7初の独立首脳文書」を採択した。

 最終日には飛び入り(?)のウォロディミル・ゼレンスキー大統領の参加で、G7は最後は「ウクライナ」一色に染まった感すらする。

 メディアが飛びついたのは、バイデン氏がついに米国製戦闘機「F-16」のウクライナへの供与を容認する考えを表明、ゼレンスキー氏に揺るぎない連帯と支援の継続を約束したニュースだった。

 G7サミットに続いて、韓国、オーストラリア、インド、ブラジル、ベトナム、インドネシア、コモロス、クック諸島の首脳も招いた拡大サミット、日米韓首脳会議、クアッドが開かれ、まさに「インド太平洋地域の国連総会」となった。

 日本の一地方都市がこれだけグローバルなニュースの発信地になったのは史上初めてだ。

 それでも、米国民とメディアには「ヒロシマ」が重くのしかかっていた。核時代突入の発端となった1945年8月6日、原爆を広島に投下したのは、米国だったからだ。

 米国は1945年8月6日、広島に原子爆弾を投下。14万人が被爆し、命を落とした。ほとんどが民間人だった。

 その「世界唯一の原爆使用国家」の現職大統領、ジョー・バイデン氏が5月19日、G7各国の首脳とともに広島平和都市記念碑(原爆死没者慰霊碑)と平和記念資料館(原爆資料館)を訪れ、犠牲者に祈りを捧げた。

 原爆を投下した唯一の国の現職大統領による訪問は、2016年のバラク・オバマ第44代大統領に次いで2人目。

 米メディアは、バイデン氏が慰霊碑の前で「謝罪」するか否か、ワシントン出発前から強い関心を示してきた。