この勧告には法的な拘束力がないが、同年5月に国連総会が英国に対し、6カ月以内にチャゴス諸島をモーリシャスに返還するよう求める決議案を採択した。
2021年1月には国際海洋法裁判所が、「英国はチャゴス諸島の主権を有していない」とする判決を下してもいる。
こうした経緯から、英国政府は2022年11月になって、ようやくチャゴス諸島の領有権についてモーリシャスと協議すると発表した。
こうした流れをみてきた中国は、モーリシャスにビジネス機会があると捉えて投資を始め、観光の段取りをつけ、少しずつ同国に足場を築き始めた。
中国は南シナ海からインド洋に抜ける貿易ルートを広げてきており、長距離航路を安定させて中東の石油を確保したいとの意向を持つ。
そのためには米軍と同じように、同地に中国軍の基地を置きたいとの希望を抱く。英クライシス総合研究所のマーク・アルモンド所長は英メディアに述べている。
「中国はディエゴ・ガルシア島に基地を獲得しようと躍起になっている」
「中国は無人島に空軍基地を建設するノウハウをもつし、権利を購入するための資金もふんだんにある」
「以前、中国は南シナ海でほとんど一夜のうちにして、砂州を固い土地に補修したこともあった」
今年に入り、中国はイラン、ロシアの海軍と共にインド洋で演習を行ってもいる。実は、中国は2017年、海外拠点としては初めてとなる軍事基地をジブチに建設し始めた。
ジブチはインド洋と紅海を結ぶ重要拠点であり、2021年になって空母の受け入れも可能な施設を完成させている。強襲揚陸艦の停泊もできるという。