米国の中部、オハイオ州ヤングスタウン市に住むドーン・ターネージさんは、2歳の姪とビデオ通話している時に、こう告げられた。
「どうして顏が曲がっているの?」
ターネージさんは「どういうことなの」と聞き返した後、鏡で自分の顔を見た。
すると口の右側が下に流れ、明らかに顔がいびつになっていた。自分では顔が歪んでいる自覚はなかった。
脳に何らかの異常をきたしたと判断し、すぐに救急車を呼んで病院に向かう。検査の結果、一過性脳虚血発作(TIA)を起こしていたことが分かった。
TIAは「ミニ脳梗塞」ともいわれ、一時的に脳に血流が行かなくなり、神経脱落症状が起こることをいう。ターネージさんはまだ44歳だった。
これは米国での一つの症例に過ぎないが、日本を含めていま世界的に若年層での患者が増えている。
米ジョージア州アトランタ市にある疾病予防管理センター(CDC)によると、ミレニアム世代では近年、同じ年齢層の先人たちよりも罹患率が増えているという。
2003年から2012年の統計では、18歳から34歳の女性の脳卒中が32%も増加していた。
米国心臓協会(AHA)が2022年に発表した研究では、75歳以上の脳卒中発症率は減少してきているが、49歳以下の脳卒中発症率は増えていることが分かった。
一体どうしてなのか。