米政界でいま、前代未聞の出来事が起きている。
一つは広く報道されているように、ドナルド・トランプ氏が大統領経験者としては初めて起訴されたという事実だ。
AV女優のストーミー・ダニエルズ氏への口止め料支払いに関連した一連の容疑で起訴が固まった。
ただ、これまでの同氏の言動をみていれば、別段驚くに値しないことかとも思う。歴代の大統領で起訴された人がいなかったためにニュース性が高まった。
それよりも筆者が注目しているのは、起訴というニュースが流れてから、トランプ氏のもとに多額の献金が集まり始めたことである。
米時間3月30日午後に起訴が確定してから48時間以内に、約500万ドル(約6億6000万円)もの寄付が集まった。
さらに4月2日になると、その額は約800万ドル(約10億円)にまで膨らんだ。
この寄付は、トランプ氏を支持する有権者が、「2024年大統領選での選挙資金として役立ててください」との意味合いで寄せられたものである。
同氏は2022年11月15日に2024年大統領選に出馬することを正式に表明し、すぐに選挙資金を募り始めている。早期に出馬をすれば、資金を集める期間が長くなり、他候補に差をつけられる。
歴史的に、米選挙ではより多くの資金を集金した候補が勝ってきているため、早い時期から出馬して資金集めを始める傾向がある。
その思いがトランプ支持者に伝わったかのように、ネガティブなニュースが報道されてから、多くの選挙資金が集まり始めた。
ちなみに、前回2020年の大統領選挙では、初期段階の選挙資金はトランプ氏がバイデン氏を上回っていたが、選挙終盤からバイデン氏の集金額が勝った。