ニューヨーク州の裁判所に出頭し罪状認否で無罪を主張したドナルド・トランプ被告(4月4日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

結審までに数カ月以上かかる長丁場

 第45代米大統領のドナルド・トランプ氏(76)が4月4日、米史上、米大統領経験者として初めて刑事事件で起訴された。

 罪状は34件。有罪が決定すれば懲役136年の刑を受ける。

 34の罪状のうち主な訴因は、2016年の大統領選直前に「過去にトランプ氏と不倫した」と主張した元ポルノ女優、ストーミー・ダニエルズ原告(44)に支払った口止め料についてだ。

 これを親族企業の「弁護士費用」として会計処理したことや、そのカネが選挙資金から出されていたことなど、私文書改竄・偽造などに関連するものだった。

 トランプ氏は大統領経験者としては稀な(唯一の)フロリダ州のマール・ア・ラーゴから自家用ボーイング757でニューヨーク入りし、トランプタワーの自宅からマンハッタン南部にある同地区検事局に出頭。

 刑事事件の起訴手続きの一環で指紋採取や写真撮影に応じ、通常手錠をかけられるところは事前の協議で免れた。

 弁護団は4月3日、「検察側は、手錠姿のトランプ氏がメディアの前で捜査員に付き添われて歩かせ、広報に努めようとしたが、トランプ氏を警護するシークレットサービスや警察も関わっており、サーカス(大騒ぎ)にはさせない」と述べていた。そしてその通りになった。

 ニューヨーク州法は軽罪や暴力的な重罪の被告に対する保釈保証金を2020年以降免除しているため、トランプ氏は保釈保証金を支払うことなく専用機でマール・ア・ラーゴに舞い戻り、支持者を前に演説した。

「起訴は前例のない規模の巨大な選挙妨害だ」

「私が犯した唯一の罪は、破壊者から国を守ろうとしたことだ」

「(マンハッタン地区検察のブラッグ検事について)あらゆる専門家が『事件性がない』という案件で大統領だった私を訴追した。辞任すべきだ」 

 いつも激烈なレトリックで政敵を批判するトランプ氏だがこの夜はどこか控え目だった。

(起訴状を読み上げたあと、裁判所のジュアン・マーチャン判事から「過激な発言は控えるように」命じられたことが影響しているのかもしれない)

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