日本チームのムードメーカーとなったラーズ・ヌートバー選手(3月16日イタリアとの準々決勝で、写真:AP/アフロ)

不振の韓国系エドマンは開幕戦先発出場逃す

 WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で大ブレイクして一躍日本ではスターになった日系ラーズ・タツジ・ヌートバー(セントルイス・カージナルス)が3月30日の開幕戦(米国時間)に先発出場した。

 昨シーズンは108試合出場、打率0.228、40打点でレギュラー定着には今一歩だったが、30日は5人で争う外野のレギュラーポジションを勝ち取って2番を打った。

 対照的なのは、チームメイトの韓国系、トミー・エドマンだ。韓国代表に選ばれたが、全く振るわず。

 開幕戦では三塁のポジションをライバルのノーラン・ゴーマンに取られてしまった。

(エドマンは、昨シーズンは打率0.265。本塁打13本、57打点、ナショナル・リーグのゴールデン・グローブに選ばれ、ヌートバーを実績で上回っていた)

 エドマンはヌートバー人気を横目で見ながら「日本の国民がどれほど彼を温かく受け入れているか、羨ましい」と臍を噛んだ。

 韓国メディアはエドマンを「戦犯扱い」した。

 侍ジャパンの栗山英樹監督は、ヌートバー招集について日本記者クラブの記者会見でこう言っていた。

「正直、凄く迷った。米国育ちの選手が日本のチームに入ることがいいのか、悪いのか」

「だが、世の中いろいろなことが起きる。一緒にやって友だちになれば、何かが起きると思い、グローバル化したいとヌートバーに来てもらった」

「米国育ち」というが、ヌートバーは「米国生まれ、米国育ちの純血日本人」ではない。父親はオランダ、英国、ドイツの血の混じった白人。母は日本人。

 WBCは両親のどちらかの出身国が外国ならその国の代表チームでプレーできると規定している。

 栗山監督はそこに目をつけて「切り込み隊長役」に守備力があり、選球眼のあるヌートバーを選んだ。