ただ、オックスフォード大学のニック・ボストロム教授は2014年、『スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運』という書籍を公表した時、AIは社会操作の超能力をもっており、その邪悪な目的を達成するために人間を騙すことが可能であると記した。
AIが世界征服をする時に必要になるのは、何か月もかけてプロジェクトを共に遂行してくれる共謀者との指摘もある。
AIがそうした忠誠心を多くの人に抱かせることが本当に可能なのだろうか。前出のリー氏はこう述べる。
「産業用ロボットの数は人間の労働者よりもはるかに少なく、大半は特定の工場で特定の職務をするために設計された特殊用途のロボットだ」
「地下の光ファイバーの修理や故障したサーバーの交換など、敏捷性と手先の器用さを兼ね備えたロボットはほとんど存在しない」
さらに人間はそれほど悲観的になる必要はないと語る。
「ロボットは故障した時には修理する人間が必要になる。世界はまだすべてが自動化されたわけではない」
「グーグル、アマゾン、AT&Tの人間が全員いなくなったら、インターネットはたちまち停止し、それと同時にAIも停止してしまう」
AIに先を越され、人間がすごすごと追随していく姿はあまりいいものではない。
いずれにしても、AIが完全に解放される前に適切な計画と管理が必要になるのは間違いないだろう。
選挙で選ばれたわけでもないAIに牛耳られる前に――。