AIが人間を凌駕するかもしれないとの危惧は他の専門家からも発せられている。

 メレディス・ウィテカー氏という、やはりグーグルにいた研究者で、のちに米ニューヨーク大学の研究機関AIナウ研究所を設立した人物が語っている。

「AIのリスクというのは、大規模なAIシステムを構築できるリソースを持っているのがほんの一握りの企業であるといういこと」

「さらに、企業は利益を追求する組織であって、必ずしも公共の利益を優先していない点にある」

「そして、これらの企業が利益を追求していくと、誰がどのように使うのか、また現在起きている、あるいは起きる可能性のある実際の被害を防ぐために、どうすればいいのかがよく分かるはず」

 前出のヒントン氏は、恐ろしいのはAIが好ましくない人物に牛耳られた時であるという。

 米メディアとのインタビューで答えている。

「AIのツールがロシアのウラジーミル・プーチン大統領や米フロリダ州のロン・デサンティス知事のような有力者に悪用される可能性がある」

「プーチン氏であれば、戦争をするためにAIを操作することを躊躇しないに違いない」

 戦争に勝つため、また選挙で勝利するためにAIを自分流に使うようになる可能性は捨て切れない。良いようにも悪いようにも使途できるのがAIである。