首脳のシャトル外交で日韓協力の可能性は広がっている

 岸田・尹錫悦の首脳間交流が再開されたことで、韓国の自治体にも日本との交流拡大に乗り出す機運が高まっている。

 忠清南道の金泰欽(キム・テフン)知事は、姉妹提携を結んでいる熊本県をはじめ静岡、東京、大阪などを1週間の日程で訪問し、観光誘致活動を行う予定だという。また日本に通商事務所の開設も推進中である。

 忠清北道の金栄煥(キム・ヨンファン)知事は4月18~21日、東京と山梨を訪問した。東京では世界韓人貿易協会に参加し、各国の韓国人・韓国系の人々を前に講演をした。また山梨では、青少年、観光、経済分野の協力強化に向けた合意書を締結したとのことだ。

 岸田首相は韓国訪問時に、韓国の財界人と懇談した。韓国経済団体は岸田首相に対し、資源開発・エネルギー・素材・部品・装備分野などでの協力拡大と支援を要請した。

 日韓両政府は2011年以来となる科学技術分野の協力対話を再開することにした。

 日韓両国は、李明博政権の前半まで協力関係を拡大してきた。ところが、その後は慰安婦問題や竹島問題などが政治問題化したことで政府や自治体間の協力・交流は停滞した。それでも、その間にも民間レベルの観光や文化の交流は拡大し、コロナ前には年間700万人の韓国人観光客が日本を訪問した。

 岸田・尹両首脳のシャトル外交が始まり、両国関係は新たな出発点に到達した。これを一層進めるには具体的な交流・協力プロジェクトが動き出す必要がある。ただしそのためには、首脳のみならず国民も感情に縛られず、客観的姿勢で問題解決にあたる必要があるだろう。