平安時代の文学に対する「衰えない好奇心」

 そのきっかけとなられたのは、授業で藤原道長が、当時の貴族の生活ぶりについて書いた『御堂関白記(みどうかんぱくき)』に触れたことだった。実は愛子さまは以前、新聞記事を読まれ、『御堂関白記』がユネスコの記憶遺産に登録されたことを知り、一度実物を見てみたいと思っていたという。そのチャンスは6年生の夏休みに訪れた。

 東京国立博物館で開催されていた、仮名と漢字で成り立つ日本独自の文字世界をテーマにした特別展、「和様の書」展において、愛子さまは恭しく展示されている『御堂関白記』を実際にご覧になったのだ。

 これほど古い日記がよく残っているものだと驚いた愛子さまは、日記を書いた藤原道長について詳しく知りたいと調べ、4ページのレポートにまとめられた。

 その内容は小学生とは思えないほど専門的で、藤原道長が権力を手中にした方法についても言及している。

 それは自らの娘を天皇に嫁がせ、外戚関係を築くことによって、宮廷の最高権力者とも言える摂政や内覧の座についたと述べられているのだが、平安時代の権力構造を理解していた点で、愛子さまの聡明さが伝わってくる。

 さらに学習院女子高等科に進学されてからも、平安時代の文学に対する好奇心は衰えず、卒業レポートでは「平安文学にみる猫や犬と人との関わり」について書かれている。

 もともと愛子さまは、動物愛護の意識が高く、御所でも幼い頃から数頭の犬や猫、それも殺処分されそうになっていた保護動物を飼われていたこともあり、『源氏物語』『枕草子』に登場する犬や猫と人との関係に興味を抱かれたのだろう。

 愛子さまのレポートは、学校側の基準である400字詰め原稿用紙30枚の倍近くの分量を執筆されたほどの力作だという。

学習院女子高等科卒業時の愛子さま(2020年、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)