小坂の廃線に「撮り鉄」が動いた
桑本氏:もともと鉱石などを運んだ産業鉄道であったことと、「機関車四重連」という愛好家の間で人気のある特別な形態で走っていたということが挙げられます。
小坂鉄道は地域の足という存在にも増して、ファンにとって特別なスポットでした。よく写真を撮りに来ていた人たちが廃線を惜しみ、町に活用を働きかけました。そうしてイベントに取り組み始めたことが、いまの「小坂鉄道保存会」の発足につながっています。
現役時代の雰囲気がそのまま残る「小坂鉄道レールパーク」には、コロナ前には年間1万3000人もの観光客が訪れていました。日によっては、現役時代に多数のタンク車を牽引していたディーゼル機関車の走りを間近に見ることもできます。
上野―青森間を走っていたブルートレイン「寝台特急あけぼの」もあり、宿泊までできるように整備されています。
また、小坂駅の周辺が産業遺構のようになっており、パークから近い十和田湖とセットで修学旅行のスポットにもなっています。
パークでのイベントを手掛ける保存会は、ファンがファンを呼ぶという形で成長してきました。いまでは、メンバーは70人超。そのうち大半が、町外・県外の方で構成されています。
(続く)