グローバル市場で繰り広げられるデジタル人材争奪戦
デジタル人材不足が叫ばれて久しい。経済産業省が公表している試算では、2030年に最大で78.7万人が不足すると見込まれているほどだ。2022年の総務省の調査研究では「DX推進の課題」として67.6%の企業が「人材不足」を挙げている。
実際、ビジネス現場ではデジタル人材、ITエンジニアの争奪戦が熾烈になっている。転職市場では有能な人材は引っ張りだこで、企業からすると「募集しても思うように応募者が集まらない」というのが実態のようだ。さらに優秀な人材の「東京一極集中化」が顕著で、地方の企業からは「人材がいない。東京から引っ張ってきても報酬面が合わない」「有能な人材がどんどん東京に行ってしまう」といった悲痛な声が上がっている。
デジタル人材の争奪戦は日本国内だけの問題でなく、グローバル市場で繰り広げられている。世界最高峰のIT人材を輩出してきているインド工科大学の卒業生をめぐってはGAFAMをはじめ世界中のIT関連企業が虎視眈々と狙っているという。
そうしたなか、「開発部門の英語公用化」という発想の転換で人材獲得実現を図っている企業が出てきている。クラウド会計ソフトなどを手掛けるマネーフォワードもその一社だ。
急成長を続ける同社の従業員数(連結)は865人(2020年11月期末)から1909人(2022年11月期末)へと拡大した。1909人の37%にあたる703人がエンジニア・デザイナーで占められ、エンジニアの38%が外国人という構成だ。つまりエンジニアの5人に2人は外国人という環境である。インド工科大学の新卒者も採用している。
マネーフォワードが英語の公用化に踏み切った背景、ステップなどについてグローバル部の小牧将和部長に話を聞いた。