ネオンが眩しいソウルの繁華街。こうした照明も安い電気代の恩恵に浴している

 韓国政府は2023年4月に予定していた電気・ガス料金の引き上げを急遽先送りした。

 電力、ガスの公企業の経営が急速に悪化して値上げは「待ったなし」だった。最近の世論調査で政権・与党への支持率が低下したことで不人気政策を決断できなかったとみられる。

 2023年3月31日、政府側から産業通商資源部長官、企画財政部第一次官など、与党「国民の力」から政策委員会議長、国会企画財政委員会幹事などが出席して政府与党政策協議会を開いた。

値上げで最終調整のはずが・・・

 この日の最大の案件は、翌日からの電気・ガス料金を引き上げ問題だった。わずか数日前までは、値上げやむなしで、値上げ幅を最終調整する場だと見られていた。

 韓国メディアによると、産業通商資源部も複数の「値上げ案」を提示したという。

 ところが、結論は「先送り」だった。「もう少し検討の必要がある」という理由で、4月からの値上げはなしということになった。

「まさか凍結とは。公企業とはいえ、2つの会社は大丈夫なのか」

 あるエネルギー関連企業の役員は、値上げ先送りの決定にびっくりしたという。

 2つの会社というのは、韓国電力公社と韓国ガス公社のことだ。

 この2社は、これまでも値上げが遅れて経営状態が急速に悪化しているのだ。

 韓国はほとんどのエネルギー資源を輸入に依存する。ウクライナ侵攻以降の世界的な原油、天然ガス料金の急騰で、電気、ガスの購入コストは跳ね上がっていた。

 にもかかわらず料金転嫁が遅れていた。