キューバ危機に匹敵する段階に
台湾は挑発を控えてきた。葬英文総統は独立を宣言していない。だが、隣人を思いとどまらせるにはもっと努力が必要だ。
米国の援護なしで長く持ちこたえられるように防衛費を増やし、偽情報から不正投票工作に至る中国のグレーゾーン戦術に市民が抵抗できるよう備えければならない。
米国としては、中国を安心させることと、その行動を抑止することにもっと一生懸命努めるべきだ。
台湾の自衛力を強化せずに中国を挑発する象徴的な行動は慎む必要がある。自身の軍隊の近代化と同盟国の結集を続けなければならない。
将来の台湾封鎖に備えることも欠かせない。
燃料の備蓄、空中補給の計画策定、バックアップのインターネット回線確保、制裁についての同盟国との合意形成などがそれに当たる。
米国と今日の中国の体制が台湾について合意することは決してないだろう。だが、第3次世界大戦を回避することについては両者の利害は一致する。
米ソ冷戦の最初の15年間は、瀬戸際政策とほとんど壊滅的な過ちが併存する恐ろしいものだったが、キューバのミサイル危機が外交の復活を促した。
世界は今、この段階にある。
残念ながら、台湾をめぐって米国と中国の見解が一致しうる余地は縮小しつつある。
競合関係にあるこれら2つの体制は、あまり危険を伴わずに共存する道を何とかして見つけ出さねばならない。