ウクライナとは異なる戦い

 台湾をめぐる戦争では、ウクライナで見られる塹壕や人海戦術ではなく、超音速ミサイルや衛星攻略兵器といった新世代の武器が使われ、口では言い表せない破壊を引き起こし、予測のつかない報復行為を招く恐れがある。

 経済には大変な悪影響が及ぶ。

 台湾は最先端の半導体を世界に供給する欠かせない存在だ。世界の3大経済大国であり、互いの結びつきが極めて深い米国、中国、日本は制裁を発動し、世界貿易を停滞させるだろう。

 米国は欧州や他の友好国に対し、中国に禁輸措置を科すよう働きかけるはずだ。

 戦争はもはや、かすかな可能性ではない。ある暗黙の取引にほころびが生じたからだ。

 米国は1970年代以降、台湾に正式な独立宣言を推奨しないように、そして台湾防衛を明示的に約束しないように気をつけてきた。

 中国側も、武力行使の可能性を排除することはなかったが、平和的な再統一が望ましいとの立場を取ってきた。

 だが、こうした姿勢が変わりつつある。

 米中央情報局(CIA)によれば、中国の習近平国家主席は2027年までに侵攻の準備を整えるよう人民解放軍に命じた。

 ジョー・バイデン米国大統領は、もし中国が攻撃してきたら米国は台湾を防衛すると明言した(大統領の側近は、これまでの方針に変わりはないと話している)。

 軍事的な力関係は1990年代ほど米軍の優位がはっきりしていない。台湾の世論も変化している。

 これについては中国が香港の自由を消滅させたことが特に効いており、今では中国との再統一に賛成する台湾人は7%を占めるにすぎない。