筆者も判決後の報告集会を視聴しましたが、実際にご自身が聴覚、視覚障害者である弁護団の方々の報告会でのコメントは、大変説得力のあるものでした。
被告側(実質的には三井住友海上)は、本裁判で「聴覚障害者の逸失利益は健常者の60%」だと主張していましたが、こうした弁護士らの活躍を同社はどう説明するのでしょう。そして裁判所は、15%減額の根拠をどこに求めるのでしょうか。
ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います。
裁判所は「障害者権利条約」の契約国としての義務を怠った
まず、先天性のろう者である田門浩弁護士のコメントです。
<障害者権利条約第6条では、次のように言っています。
1、締約国は、障害のある女子が複合的な差別を受けていることを認識するものとし、この点に関し、障害のある女子が全ての人権及び基本的自由を完全かつ平等に享有することを確保するための措置をとる。
2、締約国は、女子に対してこの条約に定める人権及び基本的自由を行使し、及び享有することを保障することを目的として、女子の完全な能力開発、向上及び自律的な力の育成を確保するための全ての適当な措置をとる。
裁判所も締約国に入っているわけですから、裁判所こそが積極的に複合差別をなくするための措置を取らないといけないです。今回の判決は、この義務を怠ったと言わざるを得ません。このような司法の在り方は今後変えていく必要があると考えています>