(写真:西村尚己/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 岸田文雄首相が、性的少数者(LGBTQ)や同性婚を巡り差別発言をした荒井勝喜首相秘書官を更迭したのは、今月4日のことだった。

 荒井氏は3日夜、首相官邸で記者団のオフレコの取材に、LGBTQや同性婚に関して「見るのも嫌だ。隣に住んでいたらやっぱり嫌だ」「同性婚を導入したら国を捨てる人もいると思う」などと語ったとされる。岸田首相は翌日にすぐさま更迭した。

「多様性を尊重し包摂的な社会を実現していく今の内閣の考え方には全くそぐわない言語道断の発言だ」

 岸田首相はそう述べて、自らの任命責任を認めている。

「LGBTQは地獄に堕ちる」と説く宗教団体

 松野博一官房長官も6日の衆院予算委員会で、首相秘書官の発言を謝罪して、こう述べている。

「岸田政権は多様性のある包摂的社会を一貫して目指しており、国民に誤解を生じさせたことは遺憾であり、おわび申し上げる」

「性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならない。共生社会の実現に向け、引き続き国民の声を受け止める」

 ならば、教えてほしいことがある。国が法人格を与え手厚く保護して全国的に活動を展開する宗教法人が、堂々と「LGBTQは地獄に堕ちる」「地獄で釜茹でにされる」などと説いて布教していることを、ご存知なのだろうか。