それが『幸福の科学』だ。その教団名で思い浮かべることや印象は世代によって違うはずだ。まずは、教団について確認しておく。

世間を震撼させたFRIDAY編集部への猛抗議

『幸福の科学』は、1986年に大川隆法を主宰者として発足した宗教団体を前身に、1991年に宗教法人として認証された。代表役員の大川隆法を、神の言葉を預かる預言者にして、地上に降りたる仏陀として、信仰の対象とする。

 設立直後には、かなり熱心に布教活動を行っていて、大手広告代理店を使い、多額の広告費を費やし、新聞、テレビ等あらゆるマスコミ媒体を介して教団の催事や大川隆法の著作物の宣伝を行い、「時代はいま、幸福の科学」というコピーを広く一般大衆に広めるなどして会員を急増させた。東京ドームで大川隆法の生誕イベントを開いたことでも世間の耳目を集めた。

 その一方で、宗教法人として認証された1991年に、教団に批判的な記事を週刊誌に掲載した講談社に対して、信者であることを公言していた女優の小川知子などを先陣に、組織的に激しい抗議活動を行っていた光景を思い浮かべる人も少なくはないはずだ。

 この時に、講談社内の業務用ファクシミリ回線に昼夜を問わず抗議文を送り続けるなど、教団職員や会員らが行った組織的な抗議活動が業務妨害行為にあたるとされ、大川隆法が言論機関への抗議活動を宗教活動と位置づけていたことから、この抗議行動そのものが『幸福の科学』の指示もしくは教義に基づく実践行為であり、民法715条に定める使用者責任を負うものとして、96年12月に東京地裁は、教団が講談社に1000万円の支払いを命じる判決を言い渡している。

 これを不服として『幸福の科学』が控訴した98年11月の東京高裁の判決では120万円に変更されたものの、99年7月に最高裁が『幸福の科学』の上告を棄却して、判決が確定している。

 若い世代にとっては、タレントや女優として活躍していた清水富美加の出家を思い浮かべる人も多いはずだ。2017年2月に突然、芸能界引退を宣言すると、レギュラー番組を相次いで降板。いまは「千眼美子」として、教団の活動に専念している。

 現在では、大川隆法を創始者兼総裁として、宗教法人を主体とした『幸福の科学グループ』を立ち上げ、教育、政治活動、出版、冠婚葬祭まで、さまざまな事業活動を展開する。