無限の未来を図るために新しい物差しが必要

 次に、全盲の大胡田誠弁護士のコメントです。

<私も皆さんと同様に、今回の判決に関しては非常に憤りを感じております。

 障害のない年少者について言うと、女子が事故に遭った場合には全労働者の平均賃金で計算する、だけれども、障害があるということで逸失利益を15%割り引くということですね。年少者の事故について、女子の場合には全労働者で計算するというのはやっぱり、男女差別はいけないことだということが一般的になっているからだと思うんです。一方で、今回、障害があるということで逸失利益を割り引くというのは、障害を理由とする格差、これは差別ではなく区別なんだから許されるんだというのが裁判所の考えなんだということがよくわかりました。

 これは一番やってはいけないことだと思うんですよね。障害があることは事実で、これは区別なんだから仕方がないというのは、これまで多くの障害者がそれによって悩まされてきた。一番それを打破しないといけないことだったにもかかわらず、一番やってはいけないことを裁判所がやってしまった。そんな気がいたします。

 この判決は、過去の偏見、差別によってつくられた古い物差しによって安優香さんの未来を測ってしまった。安優香さんの無限の未来を測るためには、やはり新しい物差しが必要で、それは、田門弁護士が言うような、障害者権利条約を批准した我が国が持つべき物差しなんだと思います。

 まだ裁判所にはその物差しがなかったんだなということがわかった。これから司法を変えていくためには、新しい物差しを導入しなければならないと強く思いました。