今回の二度にわたる番狂わせにはわたしも驚いたが、しかしそれ以上に驚いた(と同時に感動した)といえばやはり、「ブライトンの奇跡」と呼ばれ、世界中に日本旋風を巻き起こしたラグビーの南アフリカ戦である。
当時の日本チームに対する賛美はすさまじく、「ジャイアントキリング」という言葉をはじめて知った。そしてこの勝利以降、日本ラグビーが確実に自信を持ち、たとえ上位チームであろうと恐れることはなくなったのだ。
ちなみに今年は9月にラグビーW杯フランス大会が開催される。今度は五郎丸歩に代わるヒーローが現れるかどうか、期待したいところである。
ところで英国南部の都市ブライトンといえば、ベストセラー『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を書いたブレイディみかこ氏が住む街でもある。
同書が書かれた時期は、「ブライトンの奇跡」でブライトンの街が沸きに沸いた時期に重なると思われるのだが、残念ながら同書にそれに関する記述は一行もない。今回の三笘フィーバーを、みかこさん一家がどう思っているかが気になる。みかこさんが興味はなくても、息子さんはどうなのか、なかんずく、旦那さんはラグビーもサッカーも好きだと思うのだが、どうなのか。
いまアジア人最高のサッカー選手はトッテナムのソン・フンミンだといわれている。ソンは昨年度アジア人初のプレミアリーグ得点王を獲得しているし、性格も謙虚だ。韓国ではソンと三笘、どっちが上かという議論が白熱しているという。
三笘のスーパーゴールを見たサッカーダイジェスト・ヨーロッパのスティーブ・マッケンジー記者はこういっている。「プレミアリーグに留まらず、ミトマは史上最高の日本人選手になるかもしれない――。そう予感させる、とてつもないパフォーマンスだった」
わたしもまた、そういう気がする。
どっちが上かなどどうでもいい。ふたりともすごい、でいいではないか。いささか気が早いが、三笘薫がいつかバロンドール(年間世界最優秀選手賞)を受賞することも夢ではない気がする。