ブライトン所属の三笘薫(2023年1月29日、写真:アフロ)

(勢古 浩爾:評論家、エッセイスト)

 英国プレミアリーグ、ブライトン所属の三笘薫への賛辞が止まらない。

 それ以前からかれの非凡な能力は評価され始めていたが、1月29日のリバプール戦で見せた「空中ダブルタッチ」と呼ばれる神がかり的なゴールが決定的だった。

 英国では絶賛の嵐だった。英国だけではなく、スペイン、イタリア、フランス。アメリカでも称賛はつづいた。一気に「ミトマ」の名は欧米に、いやいささか大げさにいえば、世界中に知れ渡ったといってよい。

 実際、その超絶技巧のスーパーゴールは何度見てもため息がでるほど素晴らしい。

 そのゴールを見て、わたしの記憶に強烈に焼き付いている日本人選手の海外でのふたつのスーパーゴールを思い出した(外国人選手なら、1995年、鹿島アントラーズにいた貴公子レオナルドの、ゴール前リフティング4回弾である)。

 ひとつは2001年、ローマ時代の中田英寿が放った一撃である。優勝争いをしていたユベントス戦で、0―2で負けていた後半から入った中田は、強烈なミドルシュートを決めたのである。

 声は聞こえないが、「ヨッシャー」と叫んだほどの快心のスーパーゴールだった(その後、同点に追いつくアシスト弾も決めた)。まさに「ショーグーン(将軍)」の異名にふさわしい一発だった。当時、出張でイタリアに行くと、街角で気のいいおやじたちから「ナカータ」と呼びかけられたものだ。