なぜNHKだけが「公共」なのか

 有識者や放送関係者が「公共放送のあり方」について議論を重ね、理想の姿を提示することは有意義なことです。

 ただ、国民からすれば、「NHKは公共放送である」と定義づけること自体に、それほど関心がないのが実情でしょう。逆に、公共性のない放送とはどういうことなのか、なぜNHKだけが公共放送を名乗るのか釈然としません。

 そうした曖昧模糊とした感じもあって、NHKを国営放送だと勘違いしている人は案外多いのではないでしょうか。ニュース番組が多い、国会審議や国技である大相撲を中継している、など、放送内容によるのかもしれません。

 また、国営放送と思わせるような出来事もありました。

「政府が右と言っているものを左と言うわけにはいかない」

 2014年に当時の籾井勝人会長が就任会見で、NHKの国際放送について発言したものです。物議をかもし、後に発言を撤回しました。

数々の物議をかもす発言で国会にも招致された籾井勝人会長(写真:アフロ)

 いろいろありますが、国営放送だと思ってしまうのは、受信料を国民から徴収していることが大きいように思います。