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 優れた人材の確保、活用がますます企業の競争力を左右する時代になってきた。それに伴い、人事領域を司る人間が経営に参画することの必要性が高まっている。人事戦略と経営戦略はどのようにリンクさせ一体化させるべきなのか? ヤフーで人事部門のトップを務め、現在は企業の人材育成や1on1ミーティングの導入指導に携わるパーソル総合研究所取締役会長の本間浩輔氏が「経営人事」を深掘りしていく。

 時々のバズワードに振り回され、足元の課題に追われる日本企業の人事部。その状況を脱して人事を「経営の要」たらしめるために、人事トップに求められる心構えとは。

ピカピカな人材を人事トップに置いているか

 それではセッションを進めていこうと思います。今回は最初なので、「経営における人事とは何か」ということを考えていこうと思います。

 経営における人事とは……。皆さん、どう思いますか?

 少し質問を変えてみましょう。「人事と聞いてイメージするものは何か」。この問いはいかがでしょうか。

 給与計算、労務管理、採用、人事評価制度、人材育成、人材配置、組織開発、モチベーションアップ──。いろいろと浮かぶと思います。どれも、人事の大切な仕事です。

 ただ、こういった業務はどれもパーツに過ぎません。こうしたパーツが何のためにあるかというと、企業の中でも最も重要なリソースである人の能力と潜在力を最大化するため。「人的資本経営」の文脈で言えば、人材という資本の価値を中長期的に増やしていくためです。

 僕は、経営における人事を「企業価値の向上と働く人のウエルビーイングを高めるための組織」と定義付けていますが、人事はまさに企業経営の要です。