昨年は2年連続で1度も賜杯を手にできなかった。前出のように貴景勝を大関として、まだまだ「物足りない」と評する人たちは、その辺りも厳しい眼差しを向ける判断材料としているようだ。

ガチンコ勝負を凌ぎ切り成長も遂げる貴景勝

 だが少々話を戻せば、ここ最近の大相撲で場所ごとに焦点を浴びる力士が入れ代わっているのは、それだけ実力が拮抗している証明でもある。ひと昔前よりも遥かに力士が大型化し、激しくぶつかり合うガチンコ勝負で占められれば、負傷する割合も激増するのは自明の理だ。

 このように生き残って頭角を現していくことすら困難な現代の相撲界において直近の貴景勝は大関の座を死守し続けているだけでなく、しっかりと“成長の痕跡”も残している。

 昨年1月場所こそ途中休場に追い込まれたが、同年3月、次の同年5月場所とギリギリながらも8勝7敗で2場所連続の勝ち越しを決め、同年夏場所以降も今場所優勝を飾るまで実に5場所連続で10勝以上の2ケタ白星を飾っている。陥落していく大関ばかりの中、これらの点は特筆されるべきことだ。

 公称175センチ、165キロのいわゆるアンコ型で決して恵まれた体格ではないが、得意の押し相撲を極め続け、今場所は相手を小手投げ、すくい投げで破るなど今までほとんどなかった決まり手を披露し、四つ相撲にも対応できるという明らかに進化した姿も見せた。