「人事で組織の体質をコントロールする」

森:葛西さんは公共放送と国営放送を勘違いしていたと思います。「国の放送局なんだから、国に楯突く内容を流すとはけしからん」という発想があった。

 会長職は、本来は経営を見る立場で放送内容を管理する立場ではないのですが、実際は会長がNHKの役員から部長クラスまでの人事を決めるので、自ずと会社の方向性を決めてしまいます。

──安倍政権にしても葛西さんにしてもそうですが、人事で組織の体質をコントロールしようとするやり方は、もしかしたら瀬島龍三さんから受け継がれた戦法なのかもしれないですね。

森:国も組織も人事を操るということが権力の最大の源泉になります。葛西さんはそこがよく分かっているので人事にこだわる。

 安倍政権では霞が関の860人の部長候補以上の人事を決める内閣人事局というものが話題になりましたが、そこのトップにずっと君臨してきた杉田和博官房副長官は葛西さんの盟友です。