素人判断は禁物
わたしの場合、さいわい大きな後遺症はなかった。ただ病後4年経つが、いまだに小さな違和感を感じることが多い。以前はまったくなんの問題もなかったことが、こんなにむつかしいことかと感じるのだ。
ひとつは、真っすぐ歩くことである。歩くとき微妙に斜行するのである。「あれ? おかしいな」と思った。みなさんは、真っすぐ歩くことなど意識したこともないはずだ。ところが、これがふらつくのだ。
相撲の蹲踞の型がとれない。安定せず、ふらふらするのである。これにもびっくりした。ズボンの脱着をするときにもふらつく。バランス感覚に狂いが生じているとしかおもえない。罹患以前はこんなことまったく意識することがなかった。
だから駅の階段を降りるときなど、足を踏み外さないようにやけに慎重になった。セルフサービスの店も要注意だ。席との往復時はトレイが傾かないように気をつけている。1回料理を落としそうになって、冷や汗をかいたことがあるから。
自転車は乗れるのである。しかし片側が側溝になっている細い道みたいなところは、もう自信がない。狭い道幅のコーナリングも下手になった。自分が思い描いているライン通りに走れないことがある。微妙に逸れるのだ。
これらの不如意を、わたしは脳梗塞の小さな後遺症だと思っている。が、高齢になっての筋肉の減少や体幹の失調が原因かもしれない。腕立て伏せも懸垂も信じられないくらいできなくなっているのだ。まあこれは自業自得である。
食べ物や運動で、高血圧や動脈硬化を避けるようにすることはいいことかもしれない。しかしいくら気をつけても、絶対脳梗塞にならないという保証はない。またいくつか挙げられている初期症状だけで判断し、決断することはむつかしいだろう。
しかし、もしも尋常ではないような症状を感じたら、間違っていてもいいから救急車を呼ぶことである*4。もし半身が脱力して倒れたら、問答無用である。素人判断であれこれ余計なことは考えないことだ。とにかく、なったあとの対応時間が重要である。即、救急車を呼びましょう。