一時的に血管が詰まる一過性脳虚血発作という病気があるらしいが、24時間以内に完全に正常状態に戻るという。これは脳梗塞とは区別されるが、そうかどうかは素人にはわかるはずもない。
またわたしみたいに、麻痺が起きても数分で回復することがある。それで大丈夫だと思ってグズグズしたのだが、それがだめである。とにかく倒れたら即、救急車と考えたほうがいい。救急車は大げさ、と思って、タクシーや自家用車で行くのはやめたほうがいい。救急あつかいされず、一般診療として待たされる場合があるというから。
タバコをやめ、水を飲み、なるべく歩いている
わたしは在職中は、毎年健康診断を受けていた。胃の再検査はあったものの、レントゲンも血圧もコレステロールもまったく問題はなかった。それがあるとき、診断日に寝坊でさぼったことがあり、それ以降10年か15年間、退職するまで健康診断を受けなかった。しかし健康に問題なし、と思い込んでいた。
診断を受けていない間に血管数値が異常に高くなっていたのかもしれないが、きちんと受けていればよかったな、と後悔したかというと、じつはしてない。もし血圧数値やコレステロール値が高くなっていても、とても予防措置をとったとは思えないからだ。それに健康診断についてはこういうことがある。
「日本で、あたかも健康診断が素晴らしい予防効果をもつかのように喧伝されているのは、はっきりいって医療利権のためである」「毎日毎日膨大な数の健診が行われているのは、健診をやめたら食うに困る関係者がいっぱいいるからである。しかし、関係者ではない一般人は、健診関係者を食わすために、健診を受ける義務はない」(池田清彦『病院に行かない生き方』PHP新書)
世界で会社単位で健康診断なんかをやっているのは日本だけだと聞く。養老孟司氏も受けなかったというし、医者の半数は受けていないともいわれている。わたしはいまは健診そのものに不信感をもっているのである。
脳梗塞をきっかけに、一生すいつづけると思っていたタバコをやめた。医者に禁じられたこともあるが、入院中に全然すいたいと思わなかったことが大きい。若い看護師からは再発しやすいから気をつけるようにと釘を刺された。10年以内に半数が再発するともいわれている。
わたしがいた広い病室には、口に太いパイプをつけられ、終日寝つづける患者がふたりほどいた。かれらには悪いが、再発して、ああいう状態にはなりたくないと思ったのである。わたしが入院したのは2週間ほどだったが、入院も二度と嫌であった。
退院するときに、担当医から毎日1.5リットルの水を飲むよういわれた。一応忠実に守っている。退院してからは、なるべく歩くようにもしている。