中国が消費するコモディティーの輸出業者も潤うだろう。
何しろこの国は世界で産出される石油の2割、世界で精錬される銅やニッケル、亜鉛の半分以上、さらには世界で掘り出される鉄鉱石の6割以上を買い入れている大国だ。
ただし、それ以外の国々には、中国の景気回復によって痛みを伴う副作用がもたらされる。
大半の国々では、中国の景気回復の影響がGDP成長率ではなくインフレ率や金利の上昇に表れる恐れがある。
各国の中央銀行はインフレと戦うために、すでに猛烈なペースで金利を引き上げている。
もし中国の経済活動再開が物価上昇圧力を不快な水準まで強めることになれば、金融政策を一段と引き締め、かつそれをより長く続けざるを得なくなる。
そういった混乱に陥るリスクが最も高いのは、西側の大部分を含むコモディティー輸入国だ。
エネルギー市場に多大な影響
石油市場を例に挙げよう。中国の需要の増加は、景気減速に伴う欧米の消費の落ち込みを補ってあまりあるものになる公算が大きい。
大手金融機関ゴールドマン・サックスによれば、中国経済の急回復はブレント原油の価格を1バレル100ドルに押し上げることに寄与する可能性がある。
今日の水準から25%上昇する計算だ(それでも、ロシアによるウクライナ侵攻直後の高値には及ばない)。
エネルギー価格が上昇すれば、インフレ沈静化を阻むハードルがまた1つ増えることになる。
欧州にとって中国の国境再開は、今年後半のガス供給に無頓着ではいられない新たな理由となる。
ゼロコロナ政策は中国のガス需要を抑制し、その分だけ欧州の2022年の備蓄コストを押し下げた。