(英エコノミスト誌 2023年1月7日号)

中国人観光客が戻ってきたタイの首都バンコク・スワンナプーム国際空港(1月4日、写真:ロイター/アフロ)

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 中国はかれこれ3年近く、正確に言えば1016日間にわたって国を閉ざしていたことになる。

 外国人留学生のほとんどはパンデミックが始まると出国した。旅行者も訪れるのを止めた。中国の科学者は外国の会議に参加するのを止めた。外国から派遣されている会社役員らは中国の職場に戻ることを禁じられた。

 このため1月8日に中国が国境を再開して「ゼロコロナ」政策が完全に撤廃されたとき、商業的、文化的、そして知的な交流の再開は非常に大きな結果をもたらす。

 そのほとんどは好ましいものになる。

出口波の恐怖

 しかし、最初は恐ろしい事態が生じる。

 中国国内では新型コロナウイルスが猛威を振るっている。何千万人もの人が毎日新たに感染している。病院はパンク状態だ。

 ゼロコロナ政策は導入当初こそ(個人の自由をかなり犠牲にしたうえで)多くの命を救ったものの、中国政府は薬品の備蓄、高齢者への予防接種拡大、どの患者をどこで治療するかを定めたしっかりした手順の導入を進めることで政策緩和に向けた準備を適切に行うことができなかった。

 本誌エコノミストのモデリングでは、ウイルス拡散に歯止めがかからなければ今後数カ月間で約150万人の中国人が命を落とすと示唆されている。

 こうした状況に際し、諸外国にできる支援はあまりない。

 中国政府は弱々しく見えることを恐れ、効果のあるワクチンを無償で提供しようという欧州からの申し入れさえはねつけている。

 だが、中国以外の国々は、中国共産党の大転進がもたらす経済的な影響に備えることができる。そうした影響は穏やかなものではない。

 中国経済は今年第1四半期にマイナス成長に陥る恐れがある。地方政府が軌道修正し、感染者を減らそうと町や村を閉鎖したりする場合は特にそうだ。