中国経済の力強い回復は、液化天然ガス(LNG)輸入をめぐる競争が激化することを意味する。

 国際エネルギー機関(IEA)は12月、次の冬が2023年に平年通りに始まり、かつロシアがパイプラインを使った欧州へのガス供給を完全に停止するというシナリオへの警戒を促した。

 シナリオ通りになれば、欧州大陸の年間消費量の7%に当たるガスが不足することになり、配給制の導入を強いられるという。

新しい中国の普通でない常態

 中国自身にとっても、パンデミック後の常態は以前の状況への回帰とはならない。

 ゼロコロナ政策をあれほど情け容赦なく実行していた中国政府が相応の準備もなくそれを止めてしまった様子を目の当たりにして、多くの投資会社は、中国に賭けるのは危険だと考えるようになっている。

 進出済みの外国企業も、自社の操業が混乱しないとは以前ほど自信を持って言えなくなった。コスト高になってもほかの国での製造を厭わないとする企業も少なくない。

 複数の情報筋によれば、新たに工場を建設する外国からの新規投資が減速する一方、中国からほかの国に事業を移す企業の数は急増している。

 ダメージの修復に手間取っている中国当局は、歴史を思い出すべきだろう。

 中国の前回の大開放は毛沢東時代の無意味な隔離の後に実施され、ヒト、モノ、投資、アイデアの国際交流を盛んにし、爆発的な繁栄に至った。

 北京とワシントンの政治家はほとんど認めていないが、中国とそれ以外の世界の双方がそのような交流から利益を享受した。

 運が良ければ、今回の国境開放も究極的には成功するだろう。

 だが、中国共産党がパンデミックの間にあおった、偏執的で外国を嫌うムードの一部は間違いなく残る。

 新しい中国がどの程度開かれたものになるかは、まだしばらく分からない。