巨大な経済大国の急回復
だが、経済活動はやがて急回復を遂げ、財、サービス、コモディティー(商品)に対する中国の需要も急増する。
そのインパクトはタイの海岸でもアップルやテスラといった企業でも、そして世界各地の中央銀行でも感知される。中国の活動再開は2023年で最大の経済的イベントになるだろう。
時間が経つにつれてコロナ感染の大波は峠を越え、発症した人の多くは職場に復帰する。買い物客や旅行者はそれまでより自由にお金を使えるようになる。
国内総生産(GDP)は2023年第1四半期に落ち込むが、2024年第1四半期には前年比のGDP成長率が10%に達するかもしれないと見る経済学者もいる。
中国のような巨大な経済がそのような急回復を遂げることは、中国だけでその時期の世界の経済成長の大半をもたらすことを意味する。
中国共産党はそれを当てにしている。自らの無能力ゆえに悪化している悲劇ではなく、その後に続く景気回復で判断されることを期待しているのだ。
共産党総書記の習近平氏は年末の演説で、果敢に持ち場を守った医療関係者の労をねぎらい、「まだ正念場が続く」と認めつつも「希望の光は目の前にある」と断言した。
そして2023年に景気が速やかに回復する可能性があることを強調し、共産党が支配する右肩上がりの中国に暮らすことを誇らしく思う理由を並べてみせた。
習氏の口ぶりからは、パンデミックを終わったことにしたいという気持ちがうかがえた。
再開に沸く国と副作用に苦しむ国
国が自らに課した隔離の終了は、中国人の支出に依存していた場所にとっては朗報だ。
タイ・プーケットのホテルや香港のショッピングモールは、中国人が本国に閉じ込められたせいで困り果てていた。
それが今では、旅行を計画している人々が予約サイトに殺到している。
オンライン旅行会社のトリップ・ドットコムでは12月27日、成立した予約の件数が前日比で250%増加した。香港のGDPは8%も押し上げられると経済学者やエコノミストは見込んでいる。