(英エコノミスト誌 2022年12月10日号)
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新型コロナによる死者の少なさを豪語してきた中国共産党は、一体どうやって方針を転換するのか?
中国の支配者たちは3年近くにわたり、国民への過酷な提案に基づいた容赦ないパンデミック制御の仕組みを構築してきた。
個人の自由、プライバシー、尊厳を犠牲にして国民の命を守る、というのがその提案だ。
中国共産党の指導者たちは「ゼロコロナ」政策を「人民戦争」と形容した。
新型コロナウイルス感染症による死者の数が中国は少ないこと、特に米国をはじめとする自由民主主義国のはるかに高い死亡率とは対照的であることを強調したスローガンがお気に入りだった。
米国の死者数をあざ笑ってきた中国共産党
つい最近、それこそ新型コロナとの勝ち目のない戦(いくさ)に中国共産党が敗れつつあることが明らかになった頃でさえ、上級幹部は塹壕をさらに深く掘って戦う姿勢を示した。
地下壕で負け戦に直面している将軍のように勝負の賭け金を競り上げ、人の命を救えるか否かが政治システムの優劣を決める究極の試験だと言い切った。
11月29日、中央政府がゼロコロナ政策をほぼ断念する日のわずか1週間前には、外務省の華春瑩報道局長が「米国における『自由』の代償」なるものについての考察をツイートした。
米国では新型コロナの犠牲者が100万人、銃による死者が年4万人、そして2021年だけでフェンタニルによる死者が10万7622人いると正確に記したうえで、「米国民はこれよりもはるかに良い数字を享受するのに値する。我が国は国民の命を守りたい、国民がより良い人生を送れるようにしたいと思っている」と書き込んだ。
北京駐在の外交官たちは華氏の蔑むような計算に、特にフェンタニルという合成オピオイドによる米国人の死者に言及していることに唖然とした。
それは米国のオピオイド禍が中国製の前駆体の密輸によって悪化しているためであり、中国当局が何年も前からトップレベルで圧力を受け続けているのに、いまだ密輸を止められない(あるいは止める気がない)ように見受けられるためだ。
駐中国米国大使のニコラス・バーンズ氏は中国外務省幹部に抗議した。