「人間関係の摩擦ゼロ」の配送業
現在、Wさんが稼働するのは週に2~3日ほどで、9時~13時の4時間。ガソリン代や保険料など月2万円ほどの経費を差し引くと、月5万円の収入になる。
「1日にさばく荷物は60~70個程度。仕事はエリアごとに振り分けられるため、日によって荷物の量は異なりますが、だいたい時間内に終わります。私が担当するのは、配送センターから車で50分以内、走行距離は20~30キロでしょうか。自宅から近いところが多いです」
最近のアマゾン利用者は、荷物を玄関先などに置いてもらう「置き配」を選ぶ人が多いので、再配達の手間もほとんどないという。もちろん、駐停車の場所のことで注意されたり、届ける荷物を間違えたり、ルートで遠回りしたりという失敗はある。
「失敗したら自分で気づいて直さなければいけない。でも仕事を一人で完結できる点は新鮮で楽しい。会社では指示したり、指示されたり、さらに人に何かを言われたりと摩擦の連続ですから……」
中高年が配達の仕事をするのは、キツくないのか。
「階段を上がったり、運転の時間が長かったりすると疲れます。ただ、1日4時間という区切りがあるのでちょうどいい。これが専業でやるとなると、1日中ですよね。若くないとかなり過酷だと思います」
確かに、副業と専業では話が違う。では専業で配送業をしている中高年はどうなのだろう。
もともとサラリーマンをしていたが、46歳の時に会社を辞め、専業の配送員になったという地方都市在住のXさん(52)にも話を聞くことができた。彼の配送業は、副業のWさんとはまったく違う様相だった。