「あれ、こんなところでおじさんが働いてる……」
近年、非正規労働の現場でしばしば「おじさん」を見かける。しかも、いわゆるホワイトカラーの会社員が、派遣やアルバイトをしているケースが目につくのだ。45歳定年制、ジョブ型雇用、そしてコロナ──。中高年男性を取り巻く雇用状況が厳しさを増す中、副業を始めるおじさんたちの、たくましくもどこか悲壮感の漂う姿をリポートする。
(若月 澪子:フリーライター)
おじさんに優しい副業バイトとは?
地球に優しく、かつ経済成長も可能な環境対策はあんまりなさそう。同じように、おじさんに優しく、かつ稼げる副業も世の中にそんなにないようだ。
「これはおじさんに優しい副業かも……」と思って話を聞いてみても、実際は「グリーンウォッシュ」(内容が伴わない、うわべだけの環境対策)ならぬ、「おじさんウォッシュ(?)」だと思うことも多い。
そんな折、「夜や土日の求人が多いホテルの宴会場設営は、時給が高く、中高年男性が比較的多い」というウワサを聞き、「すわ、おじさんに優しい副業か?」とバイトに入ってみることにした。
コロナ禍といえども、年末は都内のどこのホテルも活況。宴会場は忘年会や結婚式、シンポジウムや会議の予約で埋まり、日ごろの人手不足がさらに加速する。
「1日80名のスタッフを集めようとしても、半分も集まらない日もある」
ホテルなどの飲食関係に人材を送り込む、とある派遣会社のスタッフが嘆いていた。
筆者も都内にある高級ホテルの「宴会準備スタッフ/時給1500円/17~22時」というバイトに申込んでみたところ、「明日来られるなら、来てください!」と即オンライン面接、即採用となった。