日本人は刺身を当たり前のように食べて育ってきた。だが、世界的に見れば、魚を生で食べる人種こそ奇怪な目で見られていた時代がある。それこそ、「うぇ〜!」という感覚で。その文化が世界に受け入れられたのは、長い歴史でみればつい最近のことだ。それも酢飯がくっついた鮨のうまさが知られたことが大きかった。

食糧危機を救ってくれるかも知れない虫も生息地域が年々縮小

 多様性の求められる時代。世界人口は確実に増え続け、世界情勢は食料危機を現実のものとさせる。虫を食べること、あるいは虫が食料に加工されることが常態化してもおかしくはない。虫は、私の生まれ育った場所がそうであったように、貴重なタンパク源となる。

 ただ、自然に獲れていた虫という食材も、これからは養殖の必要が求められる。食料としての供給量の不足に、都市化による生息地域の縮小が影響する。虫が自由に暮らせるような自然が減ってきている。

 長野県といえば最近、県議会議員が妻を殺したとして逮捕される事件があったが、県議会議事堂が隣接する県庁の周辺を流れる小さな川にも、私が小学生の頃にはホタルが飛び交っていた。そんな記憶も遠くなりつつある。