私が書いた「マイナンバーの呪い」の反響によって、多くの思いもよらない意見や主張が寄せられ、筆者としても非常に参考になった。中でも、「番号などなくても、氏名・住所・性別・生年月日で個人を特定できる」と信じている人がいることに驚いた。マイナンバー制度創設のきっかけとなった年金納付記録問題を知らないのだろうか。
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◎1回目「デジタル庁が発足して1年、ちっとも進まないデジタル化の根源に横たわる呪い」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72056)
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◎3回目「マイナンバーカードと健康保険証の一体化、今のままでは大惨事が起きかねない」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72373)
◎4回目「日本をデジタル後進国たらしめている根源、マイナンバーの呪いを解く呪文とは」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72526)
◎5回目「マイナンバー賛成・反対の不毛な問い、日本のデジタル化を阻む「呪い」の正体」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72675)
考えてみれば、この問題が起きたのは15年も前のことだ。すでに記憶が薄れた人もいれば、年金などまだ関係なかった世代が増えていることが原因かもしれない。年金納付記録問題では、(氏名や住所が記載されていても)誰のものかわからない該当者不明の年金記録が5000万件も存在したことで、国会でも大きな問題となった。
当時、マスコミは「社会保険庁の杜撰な事務が原因」だと断罪し、社会保険庁は現在の日本年金機構へと組織替えすることになった。しかし、適切な事務を行っていてもこの問題は確実に起き、起こるべくして起こった問題だったのだ。その真の原因が「日本人の名前が特定できない」ことだと理解している人は少ない。